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「歩いて・見て・考える・陸上自衛隊朝霞基地」
2007秋のフィールドワーク



期日:11月14日(水)(埼玉県民の日)
協力:朝霞・和光支部

 好天に恵まれた中で、米軍基地時代、そして今も自衛隊基地のある朝霞の様子を朝霞・和光両支部のご協力で見てまわりました。
 「基地問題」は決して沖縄ばかりではありません。身近なところにも「目と鼻の先」に基地のある生活を強いられている方々がいます。日本軍・米軍・自衛隊と続く「軍都」朝霞の変遷から日本の近代の様々な顔が見えてきます。
 今回のフィールドワークでは、東武東上線の朝霞駅を中心にまわりました。余裕のある日程でしたので1日で十分に歩けるコースだと思います。

@朝霞駅近辺
 朝霞駅を出て向かって左に向かうとかつて「引き込み線」のコースであった道にぶつかります。この「引き込み線」はかつて朝霞に日本軍の被服敞があった頃からのものです。このあたりにはかつてプールがあってベトナム帰りの兵士がマラリアを持ち込んだことがありました。朝霞の小中学校でも「プールに行くな」という注意をしたそうです。
 
A青葉台公園
 現在の朝霞市役所付近が米軍基地の北端でした。この付近にはゲートがあったそうです。そこから南に向かうと右手に青葉台公園、左手はフェンスに囲まれ中は「ジャングル状態」になっている広大な土地があります。これが「キャンプドレイク」の跡地です。中には道路やタンクなど施設の残骸も見えます。現在は国が管理している「返還地」でここに国家公務員の住宅(25階建て)を建設する計画があります。朝霞市はこれで税収の増加と複合施設の建設を目指しています。しかし、これほどの自然が残るこの土地に公務員住宅をつくることには反対の声があります。朝霞市は強行に計画を進めようとしているようですが、米軍による土壌汚染の可能性もあります。正式な調査は行われていませんが鉛が通常の30倍という情報もあります。
 
 
B朝霞西高校
 かつてここに米軍のヘリポートがありました。あまりの轟音に朝霞第一中学校ではたびたび授業が中断。しかし、ある先生が抗議の手紙を送ったところ、ヘリポートは別な場所に移ったそうです。米軍の対応に感心の声もあったそうですが、結局別の学校に被害が移っただけでした。

C朝霞第一中学校
 フェンスにそって進んでいくと「返還地」につくられた朝霞第一中学校の真新しい校舎に出ます。ここはかつてのモータープール(駐車場)で歌手のフランク永井さんはここで働きながら米兵相手のクラブなどで歌い、やがて人気歌手となります。

D被服敞跡地
 市営球場の近くでわかりにくいのですが、被服敞の入り口があったそうです。現在も残る桜の老木は当時からのものです。

E県立朝霞高校
 まさに「フェンスの向こうは基地」という朝霞市の置かれた状況が目の当たりにできる場所。ハンドボールコート、学生会館のすぐ向かいは自衛隊基地。10月28日の観閲式前には訓練が行われ、フェンス越しでは戦車が轟音を走り回り、上空を低空でヘリコプターが飛び回る事態でした。自衛隊を支持する右翼団体や反対する市民団体の活動で市内は騒然とした雰囲気になったそうです。次の朝霞での観閲式は3年後の予定です。


ハンドボールコートのなかには基地があります
 
F「日本の上海」
 現在は「栄町4丁目」。現在でも自衛隊基地のゲートがあり、かつては米軍基地のゲートがありました。米兵相手の店が並び土産物を売る「スーベニア・ショップ」から飲食店、そして米兵相手の売春施設もあったようです。
 現在では当時を物語るものも少なくなりましたが、児童公園の一角にある神社には「風紀の乱れ」を憂えてつくられたという由来を伝える碑があります。
 

G陸上自衛隊広報センター(りっくんらんど)
 陸上自衛隊の広報施設です。入り口脇にはイラクで使用された装甲車が展示されています。陸上自衛隊の活動を展示する部屋では「国際貢献」が前面に出され、自衛隊体育学校もあることから三宅兄弟、円谷幸吉らの業績が展示されています。立体映像で「強い・賢い・やさしい」自衛隊を強調し、90式戦車やヘリコプターが展示されています。ヘリコプターや射撃のシュミレーション、迷彩服の貸し出しなどが行われ、家族連れも多く来ています。屋外にも自走砲・戦車・対空戦車・地雷敷設車などが並んでいます。三菱重工・小松製作所といった有名企業がそれら「兵器」の制作開発を行っているのです。
 売店では迷彩仕様のバッグやジャケット、果てはネクタイまでが並び、「砲弾まんじゅう」などのお菓子もあります。ネーミングはある意味で秀逸。
 




攻撃ヘリや戦車も展示

 Hジャズ喫茶「海」
 1952年に小宮一晃さんが開いたジャズ喫茶。「女」で商売をする街でジャズ喫茶を開くことに反対するヤクザ連中に脅されたこともあったが飲食店組合をつくって対抗した。そんなマスターに「ピストルの修理」を頼む兵士もいたとか。
そのような剛胆な「伝説」をもつマスターの息子さんが現在のマスター。「ジャズの町朝霞」を引き継ぎ昨年末には朝霞駅前でジャズコンサートを行ったとのこと。

 
「基地問題」というと沖縄がすぐに思い浮かびますが、埼玉にも基地問題があるのです。かつては風紀や人権問題、今は観閲式の騒音や混乱など朝霞はそういった問題を考える契機になります。
  ↓事前学習にはこちらの本がおすすめです↓

中條克俊 著
『君たちに伝えたい 朝霞、そこは基地の街だった。』


梨の木社 2006年発行
定価1800円+税 A5判 196ページ 並製
ISBN4-8166-0608-4  C0021

くわしくは、こちら(梨の木社HP)

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